QRFPというホルモンはクラスA Gタンパク質共役型受容体「GPR103」を選択的に活性化し、エネルギー代謝や食欲調節など様々な生理機能を発揮することが知られている。この度、QRFP26-GPR103-Gq複合体の低温電子顕微鏡構造が3.19Åの分解能で明らかとなった。QRFP26は二次構造を持たない伸長構造をとり、そのN末端側とC末端側はそれぞれGPR103の細胞外ドメインと膜貫通ドメインに認識されている。この動きは、QRFP26の高親和性結合と受容体特異性にとって重要である。変異導入実験により、GPR103によるQRFP26の結合様式が機能的に重要であることが検証された。近縁受容体との構造比較から、多様なペプチド認識機構が明らかになり、RFPの生物学的意義に関する深い知見が得られた。本研究は、GPCR-リガンド相互作用の理解を深めるだけでなく、代謝異常や食欲不振、救急医療をターゲットとした新規治療薬の開発に道を開くものである。
上記のように、この研究の成果は、代謝および食欲調節に関連する疾患の治療薬開発に向けた新たな手がかりを提供するものとされている。QRFP-GPR103の結合メカニズムの理解が深まることで、より効果的で安全な作動薬の設計が可能となり、創薬研究への貢献が期待される。将来的な治療法の開発に向けた基盤を提供することになるだろう。
プレスリリース
代謝や食欲を制御するQRFP受容体の構造を解明