赤方偏移z = 6.05にある、合体過程にある2つのクェーサーの発見が報告された。これらのクェーサーは、すばる望遠鏡のハイパー・スプリーム・カム (HSC) 戦略的観測計画によって収集されたマルチバンドイメージングデータから、偶然発見されたものである。HSC J121503.42-014858.7(C1)とHSC J121503.55-014859.3(C2)は、ともに明るいLyα輝線を持ち、ブロード成分が明瞭である。2つのクェーサーは12kpc離れており、合体中であることを示唆する紫外光の構造によって橋渡しされていた。このクェーサーのペアは、これまでに報告されている中で最も遠方にある合体クェーサーのひとつであり、階層構造形成シナリオにおける銀河とブラックホールの形成について重要な洞察を与えてくれる。
元記事
Yoshiki Matsuoka et al 2024 ApJL 965 L4
これら「双子の巨大ブラックホール」が発見されたのは地球から129億光年彼方の「宇宙の夜明け」の時代である。2つのブラックホールは明るく輝く「クェーサー」と呼ばれる種類で、互いに衝突しようとしている痕跡が見られる。このようなペアとしてクェーサーが見つかることは珍しく、今回の発見はこれまでの最遠記録を更新するものであった。宇宙の中で、銀河やブラックホールは衝突と合体を繰り返しながら成長してきたと考えられているが、この研究は宇宙のごく早い時代において、そのような衝突が実際に起こっていたことを証明するものであるといえるだろう。