網膜ジストロフィーは視力低下をもたらす進行性の疾患である。この疾患の原因の一つとして、アイシャットホモログ遺伝子の変異が知られているが、その変異がもたらす視細胞の変性メカニズムは十分に解明されていない。この度、アイシャットホモログ遺伝子の変異に由来する網膜ジストロフィーの患者から得たiPS細胞を用いて網膜オルガノイドの作製が行われた。観察の結果、この網膜オルガノイドの視細胞には、光毒性を処理するタンパク質GRK7が存在しなかった。この網膜オルガノイドの視細胞は光刺激に脆弱で、それは特に青色光に対して顕著であった。このGRK7の非局在化はアイシャットホモログ遺伝子をノックアウトしたゼブラフィッシュでも観察された。そして、その非局在化は対照EYSを網膜オルガノイドの視細胞に投与することで回復した。これらの知見は、網膜ジストロフィーの治療法の可能性を示唆している。
Phototoxicity avoidance is a potential therapeutic approach for retinal dystrophy caused by EYS dysfunction