ミトコンドリアは分裂と融合を繰り返し、その協調的なバランスはミトコンドリアの恒常性を維持するために極めて重要である。酵母では、ダイナミン関連タンパク質Dnm1がミトコンドリアの外側から働くミトコンドリア分裂因子である。最近、ミトコンドリア膜間空間タンパク質Atg44/mitofissin/Mdi1/Mco8が新規な分裂因子であることが報告されていたが、この度、恒常的な条件下でDnm1が介在するミトコンドリアの分裂を完了させるためには、Atg44が必要であることが示された。Atg44欠損細胞は、Dnm1が蓄積した肥大したミトコンドリアと、収縮部位にDnm1病巣を持つロザリオ様ミトコンドリアをしばしば呈示する。これらのミトコンドリアの狭窄部位は、極めて狭い空間内で外膜と内膜の連続性を保っており、Atg44なしではDnm1がミトコンドリアの分裂を完了できないことを示している。さらに、Atg44タンパク質の蓄積がミトコンドリアの狭窄部位で観察された。これらの知見は、Atg44とDnm1がそれぞれミトコンドリアの内側と外側からミトコンドリア分裂を協調的に実行していることを示唆している。